誰が祖国を思わざる1

弓削達先生のローマ帝国史の紐解き本はシンプルな内容ながらビビッドにイエスのいた時代への関心に引きずりこむ迫力ある記述が多い。例の神のものは神に、カエサルのものはカエサルに!、だって初めて知ったがカエサルというのはシーザーのことではないんだ。イエスの背景のこのローマ、ローマ人というのは飛び抜けて政治的妥協の名手が多く輩出したチーム、いや集団、いや国家だったらしい。ローマが帝国となる、その領土拡大の侵略や祖国防衛の数々の戦争、その中で必ずしも屈強とも言えないローマ人達が勝ち上がっていく過程は内政での様々な階級闘争を上手に処理し、帰属するものらにわが祖国との共通の同胞感情をおうでは持たせた事にベースがあり、それぞれ階級がいかに譲歩し我を忘れず他を活かし取り込み、結局は戦力に仕立て上げていく、その巧みさにあるのだということが、弓削先生によって描かれる。稀なる本かもしれない。塩野なおみサントカイウノモ同じ事を優しく書いてるのかもしれない。