咄家みたいな理髪客

とある安い理髪店にいくと、昨日は日曜日だから混雑避けていたが、今日もつとめ人でなくシニア(ここは60歳以上だと割引がある)が大量で混んでいる。それほど待たずに座れたが、座ってから待たされる。規模が大きく椅子は20席ほどもある。しかも客は対面の席に一部なっており、面と向かっての客の顔も見える。待ってると↖向かいの客、歳のころ70くらいの人が店の人に注文つけてる。いや注文というよりは広く髪にまつわる話している。大要、自分はこの歳まで髪が残ってるが友達には薄いひともいる。そういう友達からお前はなんでそんなに髪が残ってるのだと聞かれるが、こっちの方からもなんでそんなに薄いのか聞きたいけど、それは聞けないよな、とか話してる。それも声が大きく、そればかりか声が通ってる。前の私の耳にびんびんと低く伝わってくる。咄家の声のようだと感じる。店の人は客だから適当に相づち打つがその声は許容範囲のデシベルである。その客はみなに聞かせる風ではないが、それでも自分の声を頼もしげにしゃべってる感じはする。こりゃ長続きやだなと思いつつ、こんなツイもいいかなと、こっちも携帯取り出した。その男は理髪の作業行程で場所移動があるので少し離れていった。何か話してるようだったがあまり中味は分からない大きさとなった。そのうちこっちの作業も始まり、そしてるうちにじいさんの声が再び大きく感じてきこえてきた。全て終わって会計をしてるらしい。ぴったりの金に一円足りないと探し見つけ払っている。きちっと準備してきたようだ。最後に店においてある飴、一つもらうよと言い、どうぞどうぞと言われ、この飴美味しいから探したんだけど、何処にも売ってないんだよ!と最後の語りをする。そりゃそうだあとから見たら、店のロゴ入り飴だった。やっとこ帰っていった。名残惜しそうな風もしたがそれは分からない。まぁ老人は1日に17分以上喋らないと脳が退化するらしいからな。一席は終わったらしい。