準備

しかしながらこの点は東京地裁の判決も論点としてふれ、それによるとアンテナ自体の設置が著しくマンション全体の外景観に(醜く、統一を欠いた、不快な感じを催す)損ない感を与えるものと認定していない。又しばしこの美観を現実的に検討するならば、同アンテナの設置かしょは同建物十階であって地上から眺めるになんなのか、即ちその前提としてあるかないか、又あるとしたらそれは何かの判別は到底肉眼で不可能で、従ってそうした規模や形状については特別な関心を寄せる存在が少ないと想定され、それだけ美観を問うものはほとんどいないと察せられる。更に同マンションは築50年にならんとする老朽化した建物で、その一部に小規模ながらそうした設置が為されてたとしても、アンテナ設置がされる建物は数多くあるもので殊更違和感を抱く類いのものではなく、また老朽化したマンションとの認識が先行して判断されるだろうから、老朽化マンションにはその後の時の経過で様々の捕捉が必要とされるのは当然ということもあって仮に一戸がそうしたとして何らかの不備があるものと了解しうるから、それをもって美観を損ねるとまでの判断には至らないであろう。この近隣にも真新しマンションは建設され例えばソコに本件と同種のものが設置されればそれは美観を損なうとも言える。しかし本件は築50年弱の建物で事情はことなる。此を例えれば若い女性のシミは目立ち醜さを感じさせ謂わば美観を損ねてるとも言いうるが、老婆のシミは年相応のものとして殊更醜いものでもなく、美観美貌を損ねるとは言えないことと全く同じである。